sakanantanのブログ

カフェを開きたい、日常で感じること、コーヒーの知識などを思いつくがままに書いていきます

孤独に耐える方法 -自己充足ってどういう意味?(前回の続き)

自己充足とは?

前回の記事でロレンスの「恋する女たち」について書きましたが、いまだに気になっているので続きを書いていきます。

 

恋する女たち」の後半で、ジェラルドは恋人のグドルーンと一緒に旅行に出かけます。しかし旅先で二人は上手くいかず、ジェラルドはグドルーンから離れたいと感じるようになります。しかしいざ逃げ出そうとしたときに、ジェラルドは以下のように自分自身に問いかけます。

「おれはどこへ行かうといふのか?」とみづからに問ふ。

「お前は自分だけで充足しえないのか?」男は自尊心にかけてみづから問うた。

「自己充足感!」と男は繰り返す。

僕はこの自己充足感という言葉が強く印象に残りました。あまり聞き慣れない言葉だったのですが、この「自己充足」していない状態とは、自己完結することができず、常に不安を感じたり、イライラしてしまうような状態のことを指すのだろうと思います。リア充とか非リアとかいう言葉が流行っていますが、現代風に直すと「リア充になりたい!」といった叫びでしょうか。

ただジェラルドという人物は炭鉱での仕事で既に社会的な成功を得ていて、外見もよく女性にもモテるから、一般的にはリア充の部類に入るはずです。

一見リア充なのに虚無感に襲われているような人の別称ってなんなんでしょうか。すぐには思いつかないですが、「孤独に耐えられない人」のことなんじゃないかと思います。

 

孤独に耐えるには

自分とジェラルドを重ね合わせているわけではないけど(ジェラルドはかなりの男前なので)ジェラルドが自己充足感!と叫ぶ時、僕はジェラルドの孤独が解るような気がしました。そしてジェラルドような人間はどう生きるべきなんだろう、という何だか漠然とした問題意識が生まれました。

恋する女たち」はその解決策を出していなかったからです。

間違っても強者であり続けるべきだとか、社会的な地位を得ようという話ではないなということは解ります。問題が心の内側のことだからです。

何らかの目標があるなら、それに向かって努力すればいればいいのかもしれない。それは決して悪いことではないと思います。ただそういうものが突然無くなってしまったり、見失ってしまうということはあると思います。そういう場合に陥ったときにどうすればいいのか。

なんか偉そうに言いますけど、今の世の中は目標を持ちにくい社会なんじゃないかと思います。勿論そうじゃない人のほうが多いんだと思いますが、不景気で就職しない若者とかもたくさんいるし、そういう話はよく聞きます。

自分もそう感じることがあります。これから一体何をすればいいんだろうとか、とにかく行動しろとか言われても、一体何から始めればいいんだろうという最初のところで躓いてしまうということがよくあります。

 

自分の場合は、コーヒーの味に詳しくなったり、このブログを書いていることが孤独から逃れるのに役立っています。それに僕はあんまり社交性のあるタイプの人間ではないですが、やっぱり全く人と会わない生活というのは寂しすぎるように思います。例えば3日間家の中で一人でじっとしていられるかと言えばそれは難しい。全く予定がなかったとしてもどこかの喫茶店なり本屋に出かけないと駄目で、一人でじっとしていられない性質なんだと思います。

 叫びだしたいくらいの孤独。出来ればそんな気持ちは味わいたくないけど、もしそういう気持に襲われたとしても、自暴自棄になるぎりぎりのところで耐えるしかないんでしょう。自分でも解ってるとは言えないですが、そうして少しずつ強くなっていく以外にないんじゃないでしょうか。

感想は以上です。

 

それから、なんと2月にロレンスの「息子と恋人」の新訳が出るということを偶然知りました。

 

息子と恋人 (ちくま文庫)

息子と恋人 (ちくま文庫)

 

 

 以前から気になっていた小説だったのでこれは嬉しい!

それからこのブログもどんどんレベルアップしていきたい!