sakanantanのブログ

カフェを開きたい、日常で感じること、コーヒーの知識などを思いつくがままに書いていきます

白痴の中のある言葉

昔、ある人にドストエフスキーを勧められたことがあり、僕は最近ようやくドストエフスキーの素晴らしさを知りつつあるのですが、数日前にやっと白痴という小説を読み終わりました。その中で印象に残った言葉があったのでそれについて書きます。唐突に小説の話になってしまいますが、ドストエフスキーを読むと何故か他人に薦めたくなるらしいです。僕の印象に残った台詞とは、べロコンスカヤのおばあさんというキャラクターの台詞です。

 

「どうやらあんたがたはみんないつもの癖で、あんまり先走りしすぎて、小さな蠅を大きな象にして騒いでいるようだね。・・・」

 

この言葉はこの物語の主人公であるムィシュキン公爵との交際で悩むアグラーヤのおばあさんが発したもので、要するに恋愛関係なんかでそんなに大騒ぎしてどうするんだ、ちょっと落ち着いてみなさい、というような意味の台詞です。

物語上は別段重要な意味を持ちませんが、まさに白痴という小説そのものを表しているという感じがして、僕の頭の中に強く残っています。

実際こういうことはよく起こりがちです。僕自身も恋愛で盲目になり、後先考えず突っ走ってしまう事があります。その状況がいかに苦しいのかを他人に説明したところで、なんでそんなことでいちいち悩んでんだよ・・・と言われがっかりするということも多々あります。

そういう経験のある人には、この小説は本当にお勧めです。とにかく恐ろしく長いけど、ムィシュキン公爵にしろ、アグラーヤにしろナスターシャにしろ、魅力的な人物がたくさん出てきます。僕は毎回ドストエフスキーを読み終わるたびに、これこそドストエフスキーの最高の小説だと勝手に思ってしまうのですが、今回もそう思いました。少なくとも現時点ではカラマーゾフの兄弟よりよかったという気分になっています。

特に下巻が面白くて、アグラーヤ・・・そうか、そうなるよなあ・・・みたいな感じで読んでました。

もう皆読んだ方がいい。恐ろしく長いけど、まだ読んでない人はそんなこと気にせず、さっさと本屋に行って買うべき。

 それからドストエフスキーを薦めてくれた僕の知り合いに感謝したい。次は悪霊を読むことになると思いますが、白痴には敵わないんじゃないかと思っています。でもそれも悪霊を読み終わった頃には変わっている可能性が高いです。