sakanantanのブログ

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感想「恋する女たち」  dhロレンス

恋する女たちという小説を読みました。まだ観てないけどdvdも出てるみたいですね。

 

恋する女たち D・H・ローレンス原作 BBC文芸ドラマ [DVD]
 

 

色んな恋愛観を持った人間が出てきてああだこうだ言い争います。最初はとっつきにくかったのですが中盤からジェラルドが徐々に駄目になっていく様子がリアルで引き込まれました。

 

小説の舞台は20世紀前半のイギリスで、機械化、効率化が進み、人が幸福を感じられなくなりつつある時代。そうした時代に生きる意味を失った登場人物たちが出てきます。

 それが顕著なのがジェラルドクリッチで、ジェラルドは炭鉱での仕事に従事し、より一層の機械化、効率化に励むが、それが達成されると突然虚無感に苦しみ出します。ジェラルドは何をしたらいいのかわからない倦怠に耐えられない。

 

ジェラルドにとっては愛とか結婚はたいした意味を持たず、他人にも興味を感じられない。そのうちに彼は病気に掛かった父親の死を見舞いながら、自分自身も「うつろな貝殻の内部」に入り込んでいきます。

 

何もかもが虚しく思えて生気を失っていくジェラルドは女性を必要とするけれど、愛することはできない。最終的にジェラルドは雪山を登って足を滑らせてあっけなく死んでしまいます。

 

ジェラルドはおそらく結婚の代わりに何か情熱を注げられるようなものを見つけるしかなかったんでしょう。

炭鉱での仕事に意味を感じられなくなったジェラルドはグドルーンと結婚しようとするが、それは決してグドルーンのことを愛しているからではなく、結婚に代わるようなものが見つけられないだけでした。ジェラルドにとって結婚はゴールではなく最終手段でしかない。同時にバーキンの友情に対しても勝ち誇ったような微笑を浮かべたまま拒絶してしまいます。しかも自分で拒絶したにもかかわらず、その状態に耐えることができない。

バーキンもアーシュラに求婚するが一度断られる。バーキンはジェラルドよりも深刻ではないけど、プライドの高さをアーシュラに見抜かれ、「どうしてあなたは私を苛めたいの」と言われてしまう。

恋人だったグドルーンはジェラルドの死に対してとても冷たい。バーキンの友情もジェラルドを救えるほどのものではなかったのでしょう。

中々悲壮感漂う話でした・・・。より効率化が進んでいる時代に生きている人間としてはよく解るが、ラストはあまりにあっけなさすぎるようにも感じました。